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バルトーク「子供のために」を侮ってはいけない

これまでずっと古典派やロマン派の曲ばかりをやってきた生徒さんにとっては、近現代、特にカバレフスキーやバルトークといった20世紀代に活躍した作曲家の曲に抵抗があるようだ。自分達にとって馴染みのない響きや音型が出てくるからだ。

 

先日、これまでずっとロマン派以前の曲ばかりを弾いてきた生徒さんにこの曲を与えてみた。彼女は中級レベルに間もなく入り、これまで色々な曲を弾いてきたが、近現代の曲は全くやってこなかった。一度やってみたいと言うので、バルトークの「子供のために」の1番目の曲を与えた。

 

この曲は譜読みが簡単で、ある程度ピアノが弾ける人には一見、物足りなく感じてしまう。案の定、その生徒さんの感想は「つまらない」だった。しかし、彼女の演奏を聞くと、単に音を拾って指を動かした程度で、この曲に求められている左右の手の独立や、テヌートやアクセントを弾き分けるテクニック、そして何よりも、独特な音の響きを感じとって楽しむことが出来なかったようだ。

 

そして、そもそもバルトークとは誰なのか、この曲は何のために書かれたのか、という理解がなければ、この曲を深く理解して演奏することはできない。その生徒さんは、そのようなことも調べてこなかったが、作曲家やその曲の背景を調べることは、曲を理解する上で重要なことである。

 

この「子供のために」のシリーズは、ハンガリーの子供達の実際の遊びをモチーフに作曲されたのであるが、そのような理解もないまま弾いても何の意味もない。案の定、その生徒さんの演奏はスタッカートも重く、曲のイメージとはかなりかけ離れた演奏になっていた。

 

それで、これは何の遊びであるのか、という説明から入り、最初の1小節目のスタッカートの弾き方からやり直しをさせた。

 

「ここはもっと軽やかにね。ほら、子供達がキャッキャ言って遊んでいる情景をイメージして。」

 

この曲を指導しているうちに、その生徒さんは、一見簡単そうに見えるが、楽譜通りにきちんと弾くことが難しいこと、この曲は意外に深いということを理解されたようだ。

 

曲に向かう時は、どんなに簡単だと思われる曲でも常に謙虚な姿勢で取り組む必要がある。曲に込められた作曲者の意図をないがしろにしてはいけない。音符だけを見ているとものすごく簡単そうに見えるが、よく見ると、その中で様々な指示が楽譜に書かれている。それらの情報から作曲者の意図をくみ取り、それを自分のものとして再現する能力を養うことが最も大事なのである。

 

 

| レッスンのこと | 10:18 | comments(0) | - | pookmark |
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